鎌倉の切通し(きりどおし)は、山に囲まれた鎌倉と周辺地域を結ぶために山の尾根を削って造られた道です。代表的なものは「鎌倉七切通(鎌倉七口)」と呼ばれ、市内の一か所に集まっているわけではありません。
初めてなら、駅から行きやすい亀ヶ谷坂、昔の険しい道を感じたいなら名越切通・朝夷奈切通・大仏切通が選択肢です。ただし、いずれも徒歩の負担や足元の状態が違います。巨福呂坂は通り抜けできず、七切通以外の釈迦堂切通も通行できません。「七つを全部歩いて抜けられる」と考えず、目的に合う場所を選びましょう。
鎌倉の切通しはどこにある?七切通の場所と特徴
鎌倉観光協会が紹介する七切通を、訪問先を選びやすいように整理しました。駅からのアクセスは代表的な入口までの案内で、切通全体の踏破時間ではありません。
| 切通し | おおよその場所・行き方 | 初めて訪れる際のポイント |
|---|---|---|
| 亀ヶ谷坂(かめがやつざか) | 扇ガ谷~山ノ内。北鎌倉駅から徒歩約10分 | 今も使われている坂道。北鎌倉からの散策に組み込みやすい |
| 仮粧坂(けわいざか) | 扇ガ谷4丁目。鎌倉駅から徒歩約20分 | 源氏山公園へ上る急な坂。滑りやすい箇所に注意 |
| 名越切通(なごえきりどおし) | 大町~逗子市小坪。鎌倉駅東口から徒歩約25分 | 狭い岩の道など、古道の雰囲気を見たい人向け |
| 朝夷奈切通(あさいなきりどおし) | 十二所~横浜市金沢区。十二所神社バス停から入口まで徒歩約10分 | 鎌倉と六浦を結んだ古道。山道の準備が必要 |
| 大仏切通(だいぶつきりどおし) | 長谷~常盤。長谷駅から徒歩約15分を目安にハイキングコース方面へ | 苔むした岩壁と険しい古道。大仏そのものとは別の見学地点 |
| 極楽寺切通(ごくらくじきりどおし) | 極楽寺駅から徒歩約3分、成就院付近 | 現在は車道として使われ、往時の狭い道はほぼ残らない |
| 巨福呂坂(こぶくろざか) | 鶴岡八幡宮の北側方面 | 史跡の道筋を丸ごと通り抜けることはできない |
切通しの名称には表記の違いもあります。「仮粧坂」は「化粧坂」と書かれることがあり、「朝夷奈」は「朝比奈」と表記される場合もあります。現地では公式案内図・道標を優先してください。
初めて歩くなら、どの切通しがおすすめ?
気軽に一か所見たいなら亀ヶ谷坂
亀ヶ谷坂は北鎌倉駅から徒歩約10分、鎌倉駅から徒歩約20分。扇ガ谷と山ノ内を結び、現在も生活道路として使われています。急坂ではあるものの、山中の細い未舗装路を長く進むような古道とは性格が違います。
「切通しがどんな場所か、まず一つ見てみたい」という人は、ここを最初の候補にすると計画しやすいでしょう。北鎌倉の寺社観光と組み合わせる場合も、坂のどちら側に出るか地図で先に確認しておくと遠回りを防げます。
岩の壁や中世の道を感じたいなら名越・朝夷奈
名越切通は鎌倉から三浦半島方面へ続く道で、狭い岩の通路など昔の道の面影が残っています。鎌倉観光協会によれば鎌倉駅東口から徒歩約25分、または名越方面のバスで「緑ヶ丘入口」下車徒歩約6分がアクセスの目安です。
朝夷奈切通は鎌倉と六浦を結んだ道。鎌倉駅東口から十二所方面行きのバスで「十二所神社」へ向かい、そこから入口付近まで徒歩約10分です。鎌倉市はバス停から切通道入口(三郎の滝)まで約700mとも案内しています。
どちらも一般的な市街地散歩とは異なる山道です。雨の後や暗くなる時間帯に無理をせず、歩きやすい靴で訪れてください。名越付近の「まんだら堂やぐら群」は公開期間が限られる場合があり、切通の見学と同じ条件でいつでも入れるわけではありません。
長谷・源氏山方面と合わせるなら大仏切通・仮粧坂
大仏切通は長谷から常盤・藤沢方面へ通じた道で、鎌倉観光協会は長谷駅から徒歩約15分、大仏ハイキングコース経由で途中の切通へ向かう道順を案内しています。高徳院の大仏を見た後にそのまま舗装路を数分歩くだけで到着する、という場所ではありません。
仮粧坂は鎌倉駅から徒歩約20分の扇ガ谷側にあり、登ると源氏山公園へ出ます。鎌倉観光協会も足元が悪く滑りやすいと注意を促しています。険しい坂を歩く体力があるかで選びましょう。
切通しをどう巡る?無理のない組み合わせ
短時間なら一か所、半日程度なら同じ方面の二か所までを目安に考えると、移動に追われにくくなります。以下は時間の保証されたモデルコースではなく、位置関係をもとにした組み合わせ例です。
- 北鎌倉を散策する日:北鎌倉駅 → 亀ヶ谷坂 → 扇ガ谷側へ下り、鎌倉駅方面へ。寺社に立ち寄る場合は追加時間を取る。
- 鎌倉駅西側の坂を楽しむ日:鎌倉駅西口 → 扇ガ谷 → 仮粧坂 → 源氏山公園。急坂を含むため、往復または下山ルートも先に確認する。
- 古道そのものが目的の日:名越切通、朝夷奈切通、大仏切通から一か所を選び、入口・出口・最寄りバス停まで確認してから向かう。
七切通は鎌倉の東西南北に散らばっており、徒歩で一気に七つをつなげるのは一般的な観光コースではありません。特に名越と朝夷奈を同じ日の短時間散策に無理に組み込む必要はありません。
行く前に知っておきたい通行・安全上の注意
巨福呂坂と釈迦堂切通を通り抜けコースに入れない
鎌倉市の日本遺産案内図には巨福呂坂は通り抜けできないと明記されています。また、釈迦堂切通は有名な写真を見て興味を持つ人もいますが、鎌倉七切通には含まれません。鎌倉市観光協会によると、トンネルとその前後は崩落の危険があるため通行禁止で、トンネルに近づくこともできません。
古いブログや動画の写真を見つけても、同じ道を今歩けるとは限りません。柵や立入禁止表示がある場所には入らないでください。
山道は天候・足元・帰り道まで確認する
切通しによっては岩が露出し、落ち葉やぬかるみで滑りやすくなります。運動靴やトレッキングシューズなど滑りにくい靴を選び、雨天・雨上がりや日没前後は慎重に判断しましょう。歩きに不安がある人や小さな子ども連れなら、極楽寺坂や亀ヶ谷坂のように市街地側から見学しやすい場所を優先する方法もあります。ただし車の通行や坂道には注意が必要です。
現地の閉鎖・工事・倒木・バス運行などは変わります。出発前に鎌倉市・鎌倉市観光協会の最新案内を確認し、通れない場合は引き返せる計画にしてください。
場所やルートを確認できる公式案内
- 鎌倉市観光協会「鎌倉七切通」:七つの切通しを一覧で確認できます。
- 鎌倉市「史跡朝夷奈切通」:バス停・入口へのアクセス案内があります。
- 鎌倉市観光協会「大町釈迦堂口遺跡」:釈迦堂切通の通行禁止について確認できます。
- 鎌倉市観光協会「大仏切通」:入口へのアクセスと古道の特徴がわかります。
鎌倉観光の主要な寺社を先に巡りたい場合は、北鎌倉観光コースを半日で回るなら?円覚寺・明月院を巡る順番と所要時間も参考になります。切通し中心の散策とは別の計画として見比べてください。
まとめ
鎌倉の切通しは、かつて鎌倉と外を結んだ歴史的な道です。初めてなら北鎌倉駅から向かいやすい亀ヶ谷坂、険しい古道を歩きたいなら名越・朝夷奈・大仏切通が候補になります。
七切通には現在の道路になった場所や通り抜けできない場所もあり、同じ条件で見学できるわけではありません。行きたい切通しを一つ決め、公式案内で入口・出口・通行状況を確認してから出かけると安心です。

